変わりたい、早くよくなりたいのに変化が起きないとき~無意識の抵抗について~ (後編)

前回は、無意識の抵抗が起きるとき、私たちの心ではどのようなことが起きているのかについて見てきました。

無意識の抵抗を手放していくことと関連がある、ネガティブな自分像(セルフイメージ)へのアプローチの仕方について書いていきたいと思います。

 

特に、この自分像は、潜在意識のレベルにあるため、普段は気づいていません。そのような自分像は、どのように見つけていけばよいのかから始めていきましょう。

 

どうやって、自分像(セルフイメージ)を見つけるの?

(実際は、OADの気づきの問いかけを使ったセッションを利用されることをお勧めしますが、ざっくりとした説明をしますね)

私たちの思いや感情、感覚は、意識の中で階層となって存在しています。潜在意識にある思いを探っていくには、顕在意識にある思いや感情から、段階を追って下りていくのです。

 

階層を下りていくために使う問いかけがあります。
それは、現状を変えたら、現状から抜け出すと、何がまずいのだろう?というものです。
次のように問いかけてみるのです。

 

・それをやると何がまずいの?
・やらないと何がまずいの?
・治ると何がまずいの?
・よくなると何がまずいの?

 

例えば、先に挙げた人の例ですと、

人の中に交わっていくことにしたら、何がまずいの?と問いかけます。
頭で考えずに体の感覚もよく感じながら問うことが大切です。

 

そうすると、これまで書いてきているように、

「人と交わっていくと、相手にどう思われるかという不安だ」とか、「受けいれてもらえるかわからないから怖い」といった思いが出てきます。

 

ほかの例ですと、例えば、

 

治ってしまったら、家族からのケアを受けられなくなってしまう

不倫関係をやめてしまったら、誰かに受け容れられているという感覚が感じられなくなる

お酒をやめてしまったら、焦りや不安感に直面しなければならなくなる

 

などといった思い(声)がでてくるのです。思いには感情や感覚も伴いますから不安感や、ソワソワした感覚も伴います。

 

 

このような思いを生む自分像を見つけよう

ここまででてきたら、次は、そういう思いを生むのはどんな自分だからだろうと問うのです。

なんらかの自分像(セルフイメージ)があるから、こういった思いや感情、感覚が生まれているからです。

 

具体的には、次のような問いかけをします。

 

・「どんな自分だから、相手にどう思われるかという不安を持つの?」
・「どんな自分だから、相手から受け入れられるかが心配なの?」

そこで返ってくる答えが自分像(セルフイメージ)です。

この人の場合は、例ですが、「自分はつまらないから」という風に答えがでてくるのです。

 

他の例の場合、

・「どんな自分だから、家族からのケアが必要なの?」

・「どんな自分だから、受け容れられているという感覚がほしいの?」

・「どんな自分だから、焦りや不安感に直面することがまずいの?怖いと思うの?」

 

答えの例として(あくまで例です。)

・「一人で立っていられないような自信のない弱い私だから」

・「だれからも愛されない私だから」

・「空虚感で一杯の空っぽの私だから」

 

自分像(セルフイメージ)が見つかったら、どうしたこの思いを信じたのかの理由を探ろう

問いによって見つかった自分像は、一見とても真実味があるように感じられます。しかし、これまでの記事でも書いてきていますが、何らかの思いや感情、感覚に真実味があるのは、それが作られた体験(トラウマ、刷り込みなども含む)とその体験で経験した感情、感覚、思いがあるからです。ですから、トラウマなどの体験で経験した感情、感覚、思いをきちんと解放していけば、真実味は失われるのです。

 

この人の例ですと、実際のセッションでは、「自分はつまらない」と信じている私の感情などをよく感じていきます。そうすると、自然とこの思いを形成した経験、記憶というものが出てきます。例えば、親がいつも姉の話には耳を傾けてくれていたけれど、自分の話はあまり聞いてくれなかったなどの記憶などが出てくるのです。この辛い経験があるために「私はつまらないんだ」と信じた、ということです。

 

具体的には、EFTやマトリックスリインプリンティングといったセラピーを使ってあまり親に耳を傾けてもらえなかった自分がどのような感情や感覚、思いを感じていたのかよく(自身に問いかけて)思い出して感じ、そこで感じた寂しさや、怒りや、悲しさ、孤独感や不安感などを解放をしていきます。

 

不思議なことに感情や感覚、思いがきちんと解放されると、親が単純に忙しかったからなのかもしれない、とか、実は自分の話も聞いてくれていた記憶も浮かんできたりして、姉ばかりではなかったのかもしれない、といったように状況へのとらえ方が変わり、私がこれこれこうだったからだと自分のせいにしなくてよくなる、という風に変わるのです。

 

このように、「自分はつまらない」という自分像(セルフイメージ)を信じさせた感情や感覚を解放するとその真実味がなくなり、この自分像(セルフイメージ)自体から自由になっていけるのです。それはまるで、「柳の影を幽霊と勘違いして怯えていたのか!」という発見によって、ほっとしたり、自分に力が戻ってくるような体験と同じようなものです。

 

 

ここまで、無意識の抵抗を手放すための、ネガティブな自分像(セルフイメージ)へのアプローチの仕方について書いてきました。

 

 

まとめ

ネガティブな自分像(セルフイメージ)から解放されれば、そこからはネガティブな思いや感情(不安や怖れなど)も生まれません。ですから、それらを避けるための何かも必要がありません。これが、私たちが本当に求めている本当の安心、安全でしょう。そしてこの本当の安心、安全の感覚から、これについてはどうしたい?これについてはどう対応ができるだろう?といった風にシンプルに目の前の物事に向き合うことができるのです。そこでの選択や判断は、自然で、無理がなく、自分らしさが表れたものになるでしょう。

 

本当はやりたいのにできない、やらない、またはやめたいのにやめられないという時、その停滞感に苦しむのではなく、なぜやれないのか、なぜやってしまうのかの本当の理由を知ることが大切なのです。なぜなら理由が理解できたところに、必ず本当の安心、安全があるのですから。

 

 

 


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