幸せになることを選べない、自分に許すことができないとき~ビリーフを生きる私たち~ #2 ケースB「私に幸せはマッチしない」

今回は前回に引き続き、シリーズの2つ目のケースのご紹介です。

 

仲間に選ばれるかどうかをいつも案じてきたAさんがやめられないこと

Aさんは50代の女性です。「頼れるのは自分しかいない」という思いのもとに、学生時代からも勉強、仕事に励んで生きてきた方です。

 

この方にとって、学校という場は、とても苦痛な場所でした。班割り、係ぎめ、遊びやスポーツのグループぎめがあるとき、いつも緊張と情けなさで生きた心地がしなかったと言います。足の速い子、明るく快活な子から班やグループに選ばれていき、おとなしくて、運動が苦手な自分はいつも残りもののように扱われて、毎回ドキドキして、逃げ出したい気持ちで一杯だった、と。

 

このAさんが解決したいと持ってこられたテーマは、「疲れているのに、ネット動画を観ないとどうしても寝られない」というものでした。どんなに忙しくて、くたくたになっていても、どうしても観ずにはいられない、と言うのです。

 

このAさんのビリーフと、ビリーフからとる行動

 

このような学校での経験によって、Aさんの中では、「人とは、いつも、その人の基準でしか人を見ない」「私は(その基準では)選んでもらえない」「私はお荷物な存在」というビリーフが、埋め込まれることになりました

Aさんは、「お荷物な存在」と言われないようにと、誰にも頼らずに(頼ることが悪、弱さの証明とまでも思っています)自分の力だけで生きていく、という生き方をしてきました(中学、高校と尋常じゃないほど勉強したそうです)。

しかしそこには深い孤独感や孤立感、心細さや不安なども伴うため、相当しんどい「頑張り」だったことと思います。

 

ちなみにこのような「ビリーフ」というものに普段は私たちは気づいていません。その代わり「悩み」として、次のようなものが意識されています。例えば、「疲れているのに休めない。休むことに罪悪感を感じてしまう」とか、「仕事や家事、育児について、やってもやっても達成感が得られず、周りが楽をしている、あるいは、上手くやっているように見えて、うらやましくてつらい」といったようなものです。

 

 

さて、学校での上記のような経験を持ち、それによってできたビリーフを信じているAさんの、今回のテーマである「幸せ」に対する関わり方はどういうものだったのでしょうか?

 

 

例えば、恋愛や結婚についておっしゃるには、「私は選ばれない」と思っているので、「相思相愛なんて、はなっから自分とは関係がない」とまで思っていたと言います。そして、「たとえ、別れたとしても自分が痛くない人を選ぼう」というふうに思っていたそうです。

 

Aさんは、結婚、離婚を経られたのですが、頼ること(「お荷物な私」になること)を許していないので、本心や本音をさらけ出すことも難しい結婚生活だったと言います。

 

「本心でぶつかったときに拒絶されたら生きていけない、と思っていた」と、Aさん。

 

Aさんにとっては、「お荷物な私」だからこそ、痛くならない人を選んだのに、その相手にまで拒絶されてしまったならば、それは自分が「お荷物以下」になることを意味しますので、そうならないように、決して好ましくはないけれどもせめて「お荷物」のレベルは最低限キープしようという動きになるわけです。

ですから、実際の夫婦関係では、夫婦間のやり取り、交流というのも最小限にして、できるだけお荷物のレベルから落ちてしまうリスクを避けよう、ということにもなってきます。(意識上に出てくる思いとしては、「二人でいても、上っ面な関係な感じがしてモヤモヤする。二人でいる意味があるのか?と思ってしまう」といったものであり、「私はお荷物」というビリーフに基づいての振る舞いや対応をしている結果である、ということには無意識です。

 

 

ちなみに「私はお荷物な存在」、「頼れるのは自分しかいない」という思いで突き動かされているAさんにとって、孤独感、孤立感、寂しさを抱え続けながら、頑張り続けるのはしんどくなります。どこかで息抜きをしたいという欲求もでてきます。息抜きが、「ネット動画を観ること」ということになっていたということです。頑張れば頑張るほど、この息抜きは手放しにくいものになってしまうでしょう。

 

 

この方が本当の意味で、疲れや、無理な頑張りをするということから解放され、生き方を信頼をベースにしたものに変換していくには、「その人の基準でしか自分を見てらもらえない」というこの方の世界観から抜け出す必要があるでしょう。

 

そのためにはどうしていったらよいのでしょうか? 今回のシリーズ最後に書いていきたいと思います。

 

 

今シリーズの次回では、「悪いことをした私は幸せになってはいけない」というテーマのケースを書いていきたいと思います。

 

 


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